患者の体験談

藤田大知さんの体験談

患者の体験談

2015年10月16日

写真:藤田大知さん「マルファン症候群です」医者に告げられたのは2012年の暮れ、22歳の時だった。

この話をすると決まってこう言われる「ショックだったでしょう?」と。意外かもしれない、こんな事を思うのは自分でもどうかと思うが、正直なんだそうだったのか程度でどちらかと言うと「安心」に似た気持ちだった。

 

小さい頃から身体は細く、体力もない。指は細長いなんてもんじゃない、漫画に出てくる魔女のよう。自分の身体になんの疑問ももたずに22年間も生きてきた訳がない。例えるなら長年悩んだマジックのタネを明かしてもらった、そんな気持ち。
更にはラッキーだとさえ思った。それは「肺気胸」になり入院したことで自分がマルファン症候群だと知れたから。

もしも気胸にならず生活していたら自分はただの細身のちょっとスタイルの良い人間くらいにしか思わなかっただろう。

 

2週間の入院生活は少しの痛みと少しの退屈を除けばなんてことのない毎日で、それと引き換えに長生き券をもらえたのなら御の字。

退院した後、私は別の病院での検査を勧められ通うことになる。

心配事もあった「痛いのは嫌だ、すぐ手術と言われたらどうしよう」と。

きっと同じ不安を抱く方も多いと思います。しかし検査は簡単なものが多く、気軽に受けることが出来、痛みはありません。

 

ここで私の中で大事にしている事を伝えます。それは「一つの病院にしぼらない事」です。

いずれ訪れる大きな決断「心臓の手術」を考えると一度都内などの大病院を受診し意見をもらうべきと考えています。

現に私も、地元の病院、都内の病院と両方の意見を聞いた結果、都内の病院で手術を受け経過も良好で本当に良い選択をしたと断言できます。

セカンドオピニオンというと「今かかっているお医者さんに失礼では」と渋る方も多いそうですが考えてみてください、あなたにとってはその医者は一人ですが、医者にとっては一日に何十人何百人と来る患者の内の一人です。その一人が別の病院を受けたいと言ったところで眉間にシワを寄せる医者はいません。「はいわかりました」と何事も無く二つ返事で快く送り出してくれます。

その選択があるかないかで今後の人生が変わると思うなら一日くらい通院ついでに都内でも観光してみてはいかがでしょう。

 

私は都内の病院を受けたその日に手術日が決まりました。初受診日が2014年9月14日で手術日は同年11月7日です。

心の準備は2ヶ月もなく、どたばたでしたが、先生と会うたびに不安はなくなっていきました。

「術後はこうなりますよ、数週間はこうですよ」と術後の話しかしなかったのです。

 

成功は絶対条件、決定事項です。という感じで気付けば手術当日。13時間の大手術でした。きっと待っている家族の方が辛かったと思います。

本人はと言うと手術の記憶なんてもちろんなく数日の激痛を乗り越えたらあとは病室でゆっくりですから案外楽なものです。術後も2週間〜3週間で退院出来るんです。

 

人生の一大イベントですが終わってみれば中学校の合唱コンクールの練習の方が辛かったんじゃないかななんて思えるくらい。

それでも不安でしたら手術が終わったらちょっと高い焼き肉に連れて行けと約束させましょう。私はもちろん一生モンの高いお肉で退院を祝いました。