- マルファン症候群の原因遺伝子FBN1の変異型が大動脈瘤・解離症の進展に及ぼす影響について、東京大学医学部附属病院と国立研究開発法人日本医療研究開発機構より、プレスリリース発表がありました。
- マルファン症候群の原因遺伝子FBN1の遺伝子型(種類)によって、主要な大血管障害(Stanford A型急性大動脈解離、大動脈基部置換術および関連死)の発症時期に違いがあること、FBN1の遺伝子変異は、早発型と遅発型に分類できること等、今後の治療研究につながる発表が書かれています。
東京大学医学部附属病院 循環器内科助教 武田憲文先生よりメッセージ
この研究は、日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業「マルファン症候群における長期多系統障害増悪機構の解明と新規薬物療法開発に向けた研究によって行われました。研究代表者である武田憲文先生より、マルファン症候群患者家族のみなさまに向けて、メッセージを頂戴しましたのでご紹介いたします。
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今回の研究が、患者さんや家族が一生涯に渡って抱く、急性大動脈解離や手術時期についての強い不安や悩みを少しでも和らげるための情報になればと思います。ただし、同じ遺伝子変異を持っている患者さんでも、その発生時期に大幅な相違がある場合もあります。最も重要なことは遺伝子検査を受けることではなく、臨床的に診断を受けたり疑いが残るようであれば、通院を続けて動脈瘤の状態を定期的に確認することだろうと思います。
論文でも簡単に触れましたが、小児期に複数の診療科に受診歴のある患者でも、例えば小児から成人への移行期に受診が途切れてしまい、20歳後半から30歳代で急性大動脈解離を発症して医療機関へ救急搬送される症例が今なお多いです。医療者側からのアプローチだけでは限界もありますので、移行期のお子さんを持つ親御さんには、お子さんが成人後も通院を継続できるような働きかけをお願いできればと思っています。
プレスリリース:マルファン症候群の原因遺伝子FBN1の変異型が大動脈瘤・解離症の進展に及ぼす影響について
【発表者】
武田 憲文(東京大学医学部附属病院 循環器内科 助教[特任講師(病院)])
犬塚 亮(東京大学医学部附属病院 小児科/東京大学大学院医学系研究科 小児科学専攻 講師)
小室 一成(東京大学医学部附属病院 循環器内科/東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学専攻 教授)
下記リンクよりご覧ください。
日本マルファン協会より
今までわからなかったタイプがわかるようになることは、治療や生活設計を考える上ではとても有益なことと思います。
今後もさらに研究と治療法が進みますよう、強く願っております。
早く大血管障害が出てしまうタイプの人へのよりよい心理的社会的フォローができるよう、専門機関との連携を広げ、私たちも微力ながらがんばります。