Q. 各症状の管理や治療は、どのようなことをするのですか?
A1. 心臓や血管について 心エコーやCT、MRI等の検査を、年1回受けて、経過観察をしていきますが、症状の程度により、検査の間隔は違います。 大動脈がふくらんだり、破れたり裂けてしまわないように、血圧を下げたり安定させるために、薬を飲むことがあります。 ふくらんでしまったり、裂けてしまった大動脈は、人工血管への交換が必要な場合があります。 血液の逆流など弁の働きが悪くなったら、弁の悪い部分を作り直す手術をします。直せない場合は、ウシやブタの心膜・弁から作られた弁(生体弁)や人工の弁(機械弁)に交換します。 ※外科的な治療が必要な場合、緊急手術と計画手術では、命の危険やその後の回 復が大きく違ってきます。時期を逸しない治療が大切です。
A2. 骨格について 背骨がこれ以上曲がらないように、装具をつけたり、金属で固定する手術をすることがあります。成長期は、3~4ヶ月に1回、定期検診を受けます。 漏斗胸の凹みの程度が大きかったり、美容上治したい場合は、平らにする手術をします。 足首を安定するために、靴に中敷きを敷いたり、装具や特別な靴を使うこともあります。 股関節の痛みがひどい場合は、人工関節にする手術をします。 背中や腰、足の痛みには、温熱や市販の鎮痛剤を用いてもいいですが、主治医に相談するのがよいでしょう。
A3. 目について 視力矯正手術を受けることはやめたほうがいいでしょう。 視力が悪くなったら、メガネやコンタクトで矯正します。近視の強い人は、3ヶ月に1回の定期検診が必要な場合があります。 水晶体がずれたら、水晶体を取り去ることもあります。その場合、メガネやコンタクト・眼内レンズで視力を補います。 緑内障は、目薬を使って治療します。目薬の効果がない場合、または、発作がおきた時には、手術になります。網膜剥離を起こした場合には手術になります。 白内障のある人は、目の紫外線対策にサングラスを使用するとよいでしょう。
A4. 肺について タバコは吸わないようにしましょう。タバコは肺を傷つけます。 気胸になった場合、自宅安静もしくは入院をして脱気をしたり、胸腔手術または開胸手術が必要となることがあります。
A5. 歯について 歯並びが悪いときは、矯正を行うことがあります。マルファン症候群の場合は、指定された医療機関で歯科矯正治療が保険適用になります。
⇒利用できる社会保障を参照 お口はいつも衛生的にし、虫歯がないようにしておきましょう。抜歯や歯石除去など、出血のある治療の前には抗生物質を服用し、感染性心内膜炎の予防をしましょう。歯科処置の前に抗生物質の投与が必要かどうかわからない場合は、担当医や歯科医のアドバイスを受けましょう。 ※感染性心内膜炎とは、血液中にはいった細菌などが原因となり、心臓、大血管、弁に炎症を起こす病気です。
A6. 皮膚について 皮膚の萎縮線が気になる場合は、クリームを塗ります。
A7. 硬膜について 拡張が見られ、診断の根拠になりますが、症状が軽い場合は、経過観察をしていきます。 マルファン症候群は一度検査をして、その時に異常がなければ大丈夫というものではありません。マルファン症候群(もしくは疑い)と診断されたら定期的に検診を受け、各症状を早期に発見し、適切な治療と健康管理を行うことが必要です。